2012年の新論文・エッセィ

(2012/02/03)  運慶の『無着像』は歌人・西行がモデルだった

運慶といえば鎌倉時代の最高の彫刻家として、皆さんもご存じでしょう。私も『国民の芸術』(扶桑社)や『運慶とバロックの巨匠たち』(弓立社)などの本で、

(2012/02/06)  運慶作『世親』像のモデルは文覚上人である

日本の美術で世界的な傑作の一点と言っていい運慶の『無着』像が、あの大歌人、西行を表している、と言ったら、誰しも驚き、誰しもありうることだ、と納得するでしょう。

(2012/05/07)  「反権威主義」理論の誤謬 ――アドルノとフランクフルト学派批判 4

私が、ちょうどフランスに留学していた時期(一九六五~六九)の一九六八年に、いわゆる「五月革命」が起きた。

(2012/06/11)  河内の古刹と遺跡を訪ねて

昔から河内地方は、東の大和と隔てた生駒山地と、西の大阪湾の間の、重要な歴史的地域であった。

(2012/11/08)  アドルノの美学理論の誤謬――アドルノとフランクフルト学派批判 5

一九六九年夏、かの「五月革命」を引き起こしたといってもよい「反権威主義」思想を提唱したアドルノが、学生たちに「権威」と見なされて攻撃され、心臓発作で倒れたことは前回述べた。

(2012/12/28)  西行 やまとごころの歌人――鎌倉「武士」時代の文化と芸術8

その容貌から運慶の『無着』像は、MOA美術館の『西行』像にきわめて類似していることは、すでに指摘したが(「勧進の聖たちと仏教の展開」『新日本学』平成二十三年秋、第二十二号)、『無着』像のモデルが西行だとすると、これには、あまり歌人らしい、繊細さ、神経質な様子がない。