東大仏文科時代からフランス思想に関心をもち、美を探究する立場からマルクス主義批判や近代主義批判を行なってきた。 評論では『文学の転身』『歴史のかたち、日本の美』『まとめて反論』などがある。
長い文化史(宗教、美術、美学、文学、哲学など)の研究の基礎の上に立って、氏は歴史評論と、現代史の思想的な研究を行なっている。
ひとつは、西洋文化史の理論を踏まえ、それと異なる日本文化史を新しい角度から論じている。 主として季刊『新日本学』や月刊『東北大学生新聞』に論文やエッセイの形で発表されている。 『やまとごころとは何か』(ミネルヴァ書房)もその集大成であるし、また、あらたに「天平古典文化とその時代」を同誌に引き続き連載している。 日本文化史の原理論とも言うべき歴史評論の新展開として注目されている。
他方で、産経新聞社の雑誌『正論』に、社会主義国の崩壊によってマルクス・レーニン主義は死滅したが、代わってフランクフルト学派の批判理論が、いつのまにか、現代の体制批判の理論として、大学やジャーナリスムに蔓延している情況を検討している。 既成の単純な左翼批判を超えて、その巧妙な反ナチ論から出発したこの理論に着目した、左翼リベラル批判。 筆者の学生時代の安保闘争時のマルクス主義研究が基礎になっている。
雑誌『歴史通』(ワック出版)ではとくに戦後の日本が、この理論に基づき、1942年に設立されたアメリカの国際戦術組織、OSSの理論になったことを指摘し、それがGHQの左派の理論となり、日本憲法、神道指令、農地解放、財閥解体、20万人の公職追放までその思想で行われたことを分析している。 左翼歴史家の調査を逆手にとりながら、左翼理論がいかに浸透したかを指摘している。
連載誌・最近の著書
- 著書一覧はこちら。
日本國史學
日本国史学会が立ち上げられ、その創刊号が発行されました。「新学会の設立に寄せて」と、「東大寺大仏師の研究」という論文が掲載されいます。編集責任者として、あとがき、書評にも関与しています。
発行元:竹田研究財団
〒105-0012 港区芝5-13-16 三田文銭堂ビル7階
電話 03-6435-1358
澪標
アドルノとフランクフルト学派批判の論文を掲載しております。マルクス主義現代思想の基本である、この学派の理論を徹底批判しています。
発行元:日本保守主義研究会
〒162-0041 新宿区早稲田鶴巻町303 佐々木ビル301
電話 03-3204-2535
歴史通(「月刊WiLL」別冊)
- 2010年7月号
皇統=男系を証す 藤原家伝来の”謎の宝刀” - No.4(2009年冬)
アメリカの呪縛 戦争犯罪人という烙印 - No.3(2009年秋)
機密文書開封、アメリカの「赤い星」たちが画策した、野坂参三「共産政権」の誕生
日本史の中の世界一(育鵬社)
日本史の中から、世界一と思われる50の項目をあげ、それがいかに世界的に評価されるかを論じた本。 筆者は50項目のうち、半分ほどを執筆し、縄文時代から江戸時代まで幅広く論じている。
やまとごころとは何か(ミネルヴァ書房)
『「やまとごころ」とは何か』出版さる!
日本史の中の宗教、思想を論じた著書。 筆者は神道を共同宗教とし、仏教を個人宗教と弁別し、その両方をもつことにより、はじめて確固とした宗教文化をもつことが出来たと論じている。
すでに平成20年までの『新日本学』に連載されていた各論を集大成したもの。
目次
序章 日本人の「やまとごころ」
第1章 原初神道の形成――三内丸山遺跡は語る
第2章 日本の神話をどう理解するか――天照大神と須佐之男命
第3章 巨大な天皇陵の時代――神武天皇は実在した
第4章 「神道」としての古墳文化――仁徳天皇の絶大さ
第5章 聖徳太子の思想――神道と仏教の融合
第6章 聖徳太子と霊魂の発生――法隆寺は語る
第7章 天武天皇と現人神神話の誕生――天皇=「現人神」ではない
第8章 古き時代日本の文化力・通商力――遣日使の方が多かった
第9章 唐文化は「中国」文化ではない――正倉院御物は語る
第10章 「海行かば」の思想――大伴家持に見る個人主義の容認
終章 日本人の「宗教」とは何か――靖国問題は「文明の衝突」である
『日本と西洋の対話 一文化史家のたたかい』
講談社出版サーヴィスセンター刊
堂々と日本文化を世界に発信する 国際的論客の待望のエッセイ!
『日本と西洋の対話 一文化史家のたたかい』講談社出版サーヴィスセンター刊 現代の混迷した思想状況と鋭く対決する、人文学者の軌跡!
内容
一文化史家として世界で行われる国際会議での発表にまつわるエッセイ
スリシ―城、パリ、天津、アンカラ、ブタペスト、メルボルン、秋田、フィレンツエ、ローマ、京都、メキシコシテイなどでの国際学会
一文化史家としての日本の歴史教科書をつくる会の活動のエッセイ
「つくる会」会長になったこと、教科書問題と一国の歴史、あの戦争と靖国問題、『新しい日本史観の確立』の出版、「つくる会」の騒動、
一文化史家としての大学での活動のエッセイ
人生の再出発の年、国際教養大学の英語の授業、「東北学」のまやかし、阿部次郎賞のこと、ボローニャ大学の伊語の講義、東大小権力の弊害、学問とは何か、ローマでの出版会
一文化史家としての思想活動のエッセイ
デリダの死、日本文化チャンネル桜での日本文明論、日本宗教とは何か、国家の品格、日本と「美しい国へ」導く政治、文化を失った中国、「団塊世代」の反権力、反権威の世紀病、老年世代の政治と学問、李登輝氏の来日とその「武士道」、戦後レジームからの脱却、NHK文化番組の劣化、「近代」と蘇民祭、「反権力」メデイアの画一性、『日本史の中の世界一』の出版、西洋中心主義をいかに批判するか、近代・進歩史観の虚妄、マヤ文明の衰退の原因は何か、砂漠が言語と宗教をつくる。
一文化史家としての芸術論のエッセイ
現代建築の驕り、なぜ藤田嗣治は帰国しなかったのか、「ダ・ヴィンチ・コード」の謎?、三島由紀夫と江藤淳の自決、アンドレ・マルロー、フェルメールと東洋、「小説」の「日本語がほろびるとき」、作者不在、日本人不在の「阿修羅像」、ベルナール・フランク氏と成島毘沙門天、文化多元主義の中の日本美術
新日本学
- 第14号(2009年冬)
日本は官人国家であった 天平「古典」文化とその時代 - 第13号(2009年秋)
日本神話の世界性