外交問題のへそはユダヤ人問題である――韓国を例にして

外交問題のへそ、といえば、結局ユダヤ人問題となることは、アメリカをとっても、イギリスをとっても、ましてや社会主義国をとっても同じことである。私は韓国や中国をとっても、的を外れではない、と考えている。歴史的に西洋の歴史をみると、ユダヤ人問題が、常に顔を出している。日本人としては、別に歴史的にユダヤ人に危害を加えたことはなかったから、そのことを述べても、罪彰感はないはずである。彼らに対して、キリスト教徒やイスラム教徒のような特別な感情もないし、すぐれたユダヤ人に対しては敬愛の念も惜しまない。実際、私が西洋での留学生活で、お世話になった師には、ユダヤ人学者が多かった。

拙著『戦後日本を狂わせたOSS「日本計画」』(展転社)でも、左翼ユダヤ人の社会主義思想が、戦後憲法から、戦後レジームをつくったと分析されている。それらは、一般にはGHQのアメリカ民主主義がつくったように言われているが、これも、GHQやCIAの前の情報組織、まさに陰謀組織であるOSSの「日本計画」なるものに引きずられていたことが明らかにされた。アメリカ政府がしたように見えて、そこに入りこんだ左翼ユダヤ人のグループが画策したものであると言ってよい。

アメリカという国は、移民の国であるから、決して一枚岩ではない。アメリカという名詞で、彼らの外交も経済も歴史も語ってはならない、と思っている。それはアメリカに対する素人の言い草である。基本的にはアメリカはワスプ(白人アングロサクソン・プロテスタント)とユダヤ人のせめぎあいの国家である、といってよいであろう。どちらがいう主張であるか見極める必要があろう。アメリカ政府は、金融を握っているユダヤ人たちと、国家を形成しているワスプたちとの野合ともとれる。しかしそれぞれのグループも、分裂があり、その力関係と、時の動きで優劣を競うことになる。しかし傾向としては、ワスプは国益を考え、ユダヤはグローバリゼーションを主張する。

現在、韓国は現在、ユダヤ資本に支配されていることは、知られている。十大財閥の株のほとんどがユダヤ資本に握られているのだ。サムスンも現代自動車の稼ぎも、多くの韓国人の利益になってはいない。その韓国の朴大統領が、ひとつの外交問題として、「従軍慰安婦」の問題を持ち出していることとも無関係ではない。その問題がアメリカを訪問をしている最中に語られたことが示唆的である。

二〇一一年十二月ニューヨークで在米の女性の権利の擁護団体と、韓国系の人権団体などの共催で、チャールス・ランケット下院議員、ドンチャン・キムKAVC会長などが、あるシンポジウムを開いている。二〇〇七年の夏、下院の慰安婦対日非難決議が成立して以来、韓国系アメリカ人投票者協議会(KAVC)がユダヤ社会との連携を強めてきたのである。このシンポジウムでは二名のホロコーストを生き残った女性と、二名の韓国の元慰安婦が参加し、あたかもユダヤ人の体験と、韓国人の体験とが、あの第二次世界大戦で、同じ被害の体験だった、と人々に錯覚をさせようとしたのである。

このシンポジウムで、まさにユダヤ人が韓国人を助けた格好になっている。これも、韓国でも資本の収奪の見返りかもしれない。あのヒットラーの人種偏見による、ユダヤ人のせん滅(ホロコースト)問題と、朝鮮人の慰安婦問題は、全く性格の違うもののはずである。それをあたかも同一問題のように取り上げていたのである。

一方で、慰安婦の碑建立の動きがあった。二〇一二年の春には、ニュージーランド州パリセイズ・バーク市の図書館の横に、《日本帝国軍部に拉致された二十万以上の女性を悼む》という慰安婦の碑が建てられた。とんでもない数字を、碑に刻んだのだ。

しかもこれを囃したてたの『ニューヨーク・タイムズ』である。

二〇一二年五月十八日同紙に写真入りで《慰安婦の碑、昔からの憎しみを深める》と題して大々的に報道した。この新聞が、もともと左翼ユダヤ系であることも知られている。メデイアや学界を握ることが、戦後のユダヤ人にとっては、大きな課題となったことは、彼らの戦術にとっては重要なことであった。ドイツのナチスが、あらゆる新聞やラジオなど宣伝をつかって、ホロコーストを行ったことに対する強い被害意識があったからである。左翼ユダヤ人で構成される米国に亡命してフランクフルト学派は、そのことを深く研究し、逆転させようとしたのである。このことは拙著に詳しい。

つまりユダヤ人批判を許さず、パレスチナを植民地化したイスラエルに対する非難も出来るだけ抑えようするためにも、メデイア支配が必要である。ユダヤ人を少しでも批判すると、日本においてさえも、遮二無二に、非難するような言論攻勢を行うことになる。(もしこの拙文に対する非難が出たとすると、まさにその一派の仕業である)。

米国の民主党がユダヤ人の支持政党であることは衆知のことであるが、しかしそれは決してすべてのユダヤ人ではない。今やユダヤ人の中でも、アメリカにいてグローバリスムを主張する派と、イスラエルのナショナリスムを支持する派が分かれている、といってよいであろう。イスラエル支持者は、当然、多元文化主義のグローバリスムと矛盾するのである。とくにリーマンショックのあと、金融のユダヤ人たちの内部でも分裂している。

その民主党のヒラリー・クリントン国務長官が、ユダヤ人の代弁者であったことも知られている。韓国に、二〇一二年七月、ARF(ASEAN地域フォーラム)の閣僚会合に出席するために訪れているが、クリントン長官がソウルで、《(慰安婦問題)は『性奴隷』の話であり、自分が非常な関心をもっている女性の権利と国際的に承認された「人道に対する罪」の文脈で考えなければならない》と発言したと報ぜられた。国務省も記者会見をし、クリントン長官のこの発言を確認してはいない、といいつつも、慰安婦制度に対して、《これらの女性の扱いは、「唾棄すべきものdeplorableであり、「巨大な規模の重大な人権侵犯」である》と述べたという。

ここで語られたという「人道に対する罪」とは、ナチスのユダヤ人虐殺に対するニュールンベルク裁判の扱われた罪悪ということは周知のことである。ここで、ホロコースト問題と共通すると、語ったことになる。集団的な強制されたセックスが「人道に対する罪」だとすると、売春婦を買ったすべての男性は「人道に対する罪」人となることになる。売春婦は、いつでも自分の境遇は、自由意志でなったものだ、と誰も言わないだろうからだ。経済的な強制も、強制となろう。

クリントン国務長官は、夫の大統領が、在任中に起こした姦通事件をどう思っているのであろうか。相手が売春婦ではなかったから許せるのであろうか。夫に強制はなかったかどうか。このようなことで「人道の罪」を口にすべきことではない。

強制連行を肯定した河野談話に対して、安倍首相は《政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった》との答弁書を閣議決定している、と年末に述べた。それに対し、今年の一月三日付けの『ニューヨーク・タイムズ』の社説では、安倍首相の批判を展開している。《安倍氏の恥ずべき衝動は、北朝鮮の核兵器プログラム等の諸問題において、地域における大切な協力関係を脅かすものになりかねない。このような修正主義は、歴史を歪曲することよりも、長い経済不況から回復に集中しなければいけないこの国にとって、気恥ずかしいことである》と述べている。

この「恥ずべき歴史修正主義者」というレッテル張りをする態度は、ユダヤ人の戦後の呪詛のように繰り返している、自らの歴史に批判を許さない脅迫言辞である。

よく日本では『ニュ―ヨーク・タイムズ』の言論をみて、これがアメリカの世論だという人が多いが、『朝日新聞』の意見が、日本の世論ではないと同じで、それは一部の人々の見解でしかない。このような左翼ユダヤ人に対して、私たち日本人は、ユダヤ人に何ら罪悪感がないが故に、忌憚のない批判が出来るのである。