私は、東北大学で教えながら、一方でそこの留学生会館の館長のような仕事をしていたことがある。そこにはおよそ三十カ国程の各国の留学生や研究者がいたが、多いのは中国と韓国の人たちであった。よく韓国の研究者たちと話したが、彼らはよく、朝鮮が、第二次世界大戦後、南北に分裂させられたのは、日本の肩代わりさせられたからだ、といっていた。大戦の敗戦国、ドイツが東西に分裂したのに、日本はそうはならなかった。その代わり、朝鮮が犠牲になったのだ、と恨みがましく話していたのである。その頃はまだ、「従軍慰安婦」のことは、話題にものぼらなかった。
たしかに占領下、日本も分裂統治される危機もあったが、そうならなかった。だが、それが別に朝鮮がそうなった代償であったわけではない。ドイツは自己努力で、東西が統一したが、朝鮮は相変わらず分裂したままだ。それは朝鮮人自身の責任ではないか、と反論したが、それに答えず、日韓併合時代を含めて、自分たちが日本の犠牲になったことばかりを言っていた。朝鮮人特有の“恨”の精神が、私たちの理解しがたいところにあることをその時知った。
朴槿恵大統領は、しきりに日本の「歴史問題」に触れ、日本の政治家の逆戻りする発言に遺憾の意を述べている。《慰安婦問題で、過ちはない、として謝罪をする考えもなく、苦痛を受けた人を冒涜し続ける状況では、安倍首相と会談しても、得るものはない。会談しない方がましだ》などと述べている。しかし歴史家の仕事である「歴史問題」を楯に、トップの政治家同士の話し合いを断つ、というのも、おかしな話だ。「歴史問題」は歴史家の仕事で、今や、「慰安婦」はいても「従軍慰安婦」や「性奴隷」などいなかったことの方が正しい。大統領の態度は、東洋人らしい「礼節」を欠いているとしか言い様がない。
《衣食足りて礼節を知る》(管子)というが、その言葉を知っているはずの漢字圏の東洋人が、この「礼節」を失っている、ということは、彼らが「衣食」で、苦労しているからということになる。なるほど、韓国の外交の焦り、そして意味のない対日攻撃も、韓国国家が経済的にも、軍事的にも浮き足立っていることから来ているようだ。
韓国経済は、かつての通貨危機で破産した当時よりもひどくなっている。韓国の対外債務は四千億ドルにもなり、過去最高額に及んでいる。外貨準備高は約三千億ドルといわれるが、八十パーセントは有価証券で、それも信用を失っているものが多い。サムスンも失速し、経済全体が崩れている。これまで日本や米国と行われてきた通貨スワップも、中国に代わった後、中国自身の経済不安から、それが続くような状態ではない。
韓国には七大メガバンクがあるが、その六行が、外資比率が五十%を超え、外国資本、とくにアメリカ・ユダヤ金融資本に抑えられている。国のGDPの七十五%以上を稼ぐ十大財閥もこうした金融機関に依存しているのだ。このことは韓国が、その「植民地構造」の経済状態にあり、彼らの経済の弱点となっているのが見て取れる。政府は、国内から税を取れなくなって、在日の韓国人からとる方策に出ている。日本で稼いた在日韓国人も動揺をきたしている、と聞いている。
韓国の借金は、国だけでなく、一般家庭まで及び、総額六十三兆円を越えたと韓国の新聞は伝えている。かつてアジアの通貨危機で破産した当時よりも三、五倍に膨れているのである。一般家庭の借金はうなぎ上りで、就職難もあって、多くの子女が、海外に出ている。その一部が、売春に走っていることも衆知のことだ。朴大統領が、慰安婦の問題に執着するのも、現代の韓国の海外で(特に、日本で)売春する韓国女性の急増に、頭を痛めている結果ではないか、とさえ考えられる。
海外で売春をする韓国人女性は八万人といわれ、日本に五万人もいる、という。韓国では二〇〇四年に売春特別法が出て、政府が取締りに乗り出した後、彼女らは海外に出ざるをえなくなった。とくに日本にそれが多くなったとことは、まさに朝鮮の「慰安婦」の問題は、現在の韓国の「慰安婦」問題と重なっており、自国の慰安婦が、日本で犠牲になっている、という考えに、裏打ちされてしまっているかに見える。とんでもないことになっている。
いずれにせよ、何とかして、日本を悪者にして、そこから謝罪(金)を引き出さなければならない。そこに悪知恵をつけているのが、アメリカ・ユダヤの勢力である。海外で、韓国人の売春を斡旋しているのも、彼らである可能性が高い。
財閥や銀行だけでなく、ユダヤ勢力と韓国の結びつきは強い。とくに二〇〇七年の夏、アメリカ下院の「慰安婦対日非難決議」が成立して以来、韓国系アメリカ人と、ユダヤ社会との連携を強めてきた。二〇一一年十二月ニューヨークで在米の女性の権利の擁護団体と、韓国系の人権団体などの共催で、ホロコーストを生き残った女性と、韓国の元慰安婦が参加するシンポジウムを開催したのも、その一例である。あたかもユダヤ人の体験と、韓国人の体験とが、あの第二次世界大戦で、同じ被害の体験だった、と人々に錯覚をさせようとしたのである。
左翼ユダヤ勢力は、相変わらず、ドイツ・ナチの体験から、「反ユダヤ主義」を糾弾し続けている。もう人種差別は、その成果で、ほとんど無くなったにも関わらず、その手を緩めようとしない。第二次世界大戦の折り、そのドイツと同盟関係にあった日本を、あいかわらす批判し続けているのだ。日本が、ユダヤ人に対して、長く好意的で、人種差別においてはドイツとは決定的に異なっていたことを、まだ理解出来ないでいる。その多くは、相変わらず日本をドイツ・ナチスと同じような「人道的罪」を負わせようとしており、それを韓国人、中国人と共に「従軍慰安婦」「南京大虐殺」を捏造して、それを押し付けようとしているのである。
私は前号で、その元凶として、ユダヤ人学者の多いハーバート大学の日本の近現代史研究者がいることを指摘した。こうした歴史学者の書物が、欧米では権威筋となり、その説が人口に介錯されることになる。ハーバート大学の『日本の二〇〇年』を書いたアンドルー・ゴードンも、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を書いた前の教授エズラ・フォーゲルも、この二つのこれら事件の起きたことを、本当のように語っている。それを学ぶ韓国の学生も、外交官も、みなそれで洗脳されることになる。この大学出身である、マサチューセッツ大学教授であったジョン・ダワーなどもその一人だ。『忘却のしかた、記憶のしかた』(岩波書店)などという近著でもしきりにそれを述べている。
アメリカ日本研究者が、ほとんど皆、この歴史捏造にを見抜けないでいることは、アメリカの戦時中の対日占領政策がどんなものであったか、彼らが意図的に無視していることに起因している。もともとこれは戦中にOSS(軍事戦術局)の「ブラック・プロパガンダ」によって造られたものが多い。それが東京裁判に取り上げられていたのである(拙著『戦後日本を狂わせたOSS「日本計画」』展転社参照)。
むろん日本人学者もその「ブラック・プロパガンダ」の捏造を真に受けて、それを支持している左翼学者も多い。それに加えて、日本の左翼政治家が、「村山談話」「河野談話」のように、公式見解にしてしまったのである。
私たちは、昨年、日本の歴史の戦後の左翼化を是正すべく「日本國史學会」を結成したが、今度は、その部会として、「対日占領政策研究会」を立ち上げた。ここで、いかにアメリカ政府が、その当時、左翼化し、日本を貶める政策を行なったか、それを共同研究することにしたのである。第一回は、私がOSS「日本計画」について語った。二回目は、教育学者の高橋史郎氏が、ルート・ベネディクトの『菊と刀』が、いかに対日プロパダンダの下で、書かれたかが発表された。これから続々と、こうした研究発表をするつもりである。
というのも、基本的には、安倍総理をいうように、この問題は、「歴史家に任せる」問題のはずであるからだ。歴史家はそれに答えなけれならないからである。